補助金コンサルは不要だ

先週、ABEMA TVの「ABEMA Prime」という番組に出演した。ひろゆき氏らと「補助金コンサルは必要か」というテーマでディスカッションした。直前のコーナーが延長になり時間短縮で言い足りないところも多々あったので、この場で補助金に関する私の考えを整理しておきたい。

私は、わが国に補助金はまったく不要だと考える。補助金が不要なので、補助金を飯のタネにしている補助金コンサルも不要だ。なぜ補助金が不要なのか。ひと言で言うと「補助金は税金の無駄遣い」ということだ。

自由主義経済では、経営者・起業家が「これは儲かる!」と思ったら新しい事業をする、投資をする。「損しそうだ」と思ったらやらない。その結果、儲かるのも損するのも、彼らの自己責任だ。

ところが、わが国では、国が「補助金を出すから、半導体事業をやりましょう」「省力化投資をしましょう」と経営者の背中をドスンと押している。それにとどまらず、上手くいかなかったら延命支援でさらに補助金・融資をつぎ込む。とても自由主義経済とは思えない、いびつな状態だ。

と言うと、よく「自由主義がどうだとか理念はどうでもいい。結果的に補助金によって企業の生産性が上がるかどうかだ。税金の無駄遣いにならないように、生産性が上がりそう分野に絞って補助金を作り、ちゃんと採算性を確認して支給すれば済む話だ」と反論される。

理屈はそうかもしれないが、ビジネス経験とコスト意識のない経済産業省の役人にそういう適切な判断ができるとは思えない。過去30年を振り返れば明らかなように、国が主導した産業政策は、大半が無残な失敗に終わっている。理念だけでなく、実態を見ても、補助金はわが国に大きなマイナスを及ぼしている。

昨年の中小企業予算は、約9,500億円(当初予算約1,080億円、補正予算8,364億円)に達する。国民1人当たり約7,500円だ。もし国が「中小企業の経営を支援するために、毎年7,500円の“中小企業支援税”を徴収します」と言ったら、大半の国民が「経営者が自己責任で経営しろよ。俺たちを巻き込むな」と反対するだろう。国民は補助金を支持していない。

仮に千歩譲って補助金が必要であるとしても、補助金コンサルというビジネスは不要だと思う。

現在、ものづくり補助金など大型補助金は仕組み・申請手続きが複雑怪奇で、補助金コンサルの支援なしには採択されない状態になっている。そして、補助金が採択されたらコンサルは受給額の13割を成功報酬として受け取る。いわゆる中抜きだ。

結婚したら自分で役所に婚姻届を出す。赤ちゃんを生んだら自分で出生届を出す。自分で役所に申請できず、補助金コンサルに中抜きされてしまうという補助金の現状は、理想からほど遠い。

先週の本コラム(615日「コンサルティング会社の倒産が増えている理由」)でお伝えしたとおり、現在、国や自民党は、補助金の見直しを進めている。遅ればせながら、補助金が消滅し、正常な経済活動を取り戻し、日本企業・日本経済が復活することを期待したい。

最後に、余計なお世話というひと言。私の周りには、補助金コンサルで生計を立てている中小企業診断士がたくさんいる。せっかく難関資格に合格する頭脳があるのだから、泥船の補助金コンサルに拘らず、世の中の役に立つ業務に活用していただきたい。

 

(2026年6月22日、日沖健)