コンサルティング会社の倒産が増えている理由

帝国データバンクによると、202615月に発生した「経営コンサルティング」業の倒産・休廃業・解散は242件だった。2025年通年の件数(568件)を上回るペースで推移しており、過去最多を更新する勢いだ。クライアントに経営のアドバイスをするコンサルティング会社が経営難で行き詰まるという、同業者として笑えない状況である。

メディアやSNSには、「生成AIの普及でコンサルタントの需要が減った」という指摘が出ている。しかし、これは今後の話であって、現状の説明としては正しくない。原因は、一言で言うと「バブル崩壊」である。

2012年発足の第2次安倍政権では経済産業省が実権を握り、ものづくり補助金・持続化補助金・IT導入補助金(現デジタル化・AI導入補助金)などを続々と導入した。2020年のコロナ禍で、補助金予算がさらに膨張した。

こうした補助金の申請代行は、「誰でも儲かる楽勝ビジネス」ということで、コンサルタントなどが続々と参入した。業界内では、「コロナバブル」「補助金バブル」と言われた。

20235月にコロナが第5類に移行したことで、補助金予算が頭打ちになり、縮小するパイを巡る受注競争が激化した。また、不正受給や報酬を巡るトラブルの続出を受けて国が審査の厳格化を打ち出したことから、業務の難易度が上がった。こうして、補助金ビジネスは「楽勝」ではなくなった。

バブルの寵児だった北浜グローバル経営が、2024年5月に自己破産した。これを皮切りに、補助金ビジネスにのめり込んだコンサルティング会社が経営に行き詰まるようになった。こうして補助金バブルは、発生から5年経ったいま、崩壊の最終局面を迎えている。

今後はどうか。今後を占う上で気になるのは、以下の2点だ。

一つは、2026年1月の行政書士法の改正である。以前は「申請書はこちらで全部書いておきますから、ハンコだけ押してください」というやり方が横行していたが、法改正で明確に違法になった。業界内で「代書屋」と呼ばれるコンサルタントは、捕まらない内に転廃業するのが賢明だ。

もう一つは、やはりAIの普及である。過去の採択・非採択の事例を分析し、自社の状況に当てはめ、採択されやすい申請書を作成する、という作業はAIが最も得意とするところだ。経営者がAIを使いこなせるようになれば、コンサルタントが出る幕はほぼなくなる。

もちろん、補助金がすべてなくなるわけではないので、実力のあるコンサルタントは生き残るが、全体としては補助金ビジネスがさらに厳しくなるのは間違いなさそうだ(大手コンサルティングファームはまったく違った展開が予想されるが、その辺りは別の機会に)。

ところで補助金は、よく「税金の無駄遣い」と批判される。ただ、財政的な負担だけでなく、「補助金ファースト」というべき状態を作り出し、企業の行動を大きく歪めているのが、より問題ではないだろうか。

企業は設備投資などを意思決定するとき、採算性を綿密に検討するのが普通だ。しかし近年は、多くの経営者がまず補助金を探して、「補助金を受けられそうならやる、受けられなさそうならやらない」と判断するようになっている。

企業だけではない。コンサルタントは、クライアントの課題を分析し、課題解決のためのコンサルティングの提案をするのが普通だが、クライアントのニーズを無視して「補助金が出るからうちでコンサルティングを受けませんか」と売り込むようになっている。金融機関やITベンダーも同様だ。

補助金のあるなしを基準に意思決定する「補助金ファースト」は、経済産業省が目指す方向に沿って企業などが動いていると言えるのだが、これはいかがなものか。

過去30年を振り返ると、ビジネス経験のない役人が考えた産業政策は、大半が無残な失敗に終わっている。経済産業省と一蓮托生で没落したくなかったら、経営者は補助金や補助金に群がるコンサルタントなどとは距離を置いて、自分なりに判断し行動するべきだと思う。

 

(2026年6月15日、日沖健)