会社員と名刺交換をすると、勤務先・役職を見ればその人の年収がだいたい想像つく。わかっていることなので、初対面の会社員の年収を尋ねるということはない。
ところが、独立コンサルタントの場合、「日沖コンサルティング事務所・代表 日沖健」という名刺を見ても、儲けているのか無一文なのか、皆目わからない。そのため、初対面に近いコンサルタントの集まりで、お互いの年収の探り合いをすることがある。
聞かれてもいないのに「俺は年収5,000万円だ」と吹聴する人もいれば、聞かれても生返事という人もいる。また、話に加わらなかったり、「お金のことなんてどうでもいいでしょ」と話題を変えようとする人もいる。
高収入を吹聴するコンサルタントの心理は単純だ。名刺を出すだけでは自分が高収入で有能なコンサルタントであるとわかってもらえないので、何とかアピールしたいのだろう。コンサルタントは寂しがり屋で、「凄いですね!」とチヤホヤされたいものだ。
では、「お金なんてどうでもいい」と言うコンサルタントは、どういう心理だろうか。4つのケースが考えられる。
① ビジネスがうまく行っておらず、儲かっていない。お金の話で劣等感を味わいたくない。
② 金儲けなんて不浄なことを人前で大っぴらに話すものではない。
③ 私は趣味(あるいは暇つぶし・ボケ防止)のためにコンサルタントをしているだけで、金儲けをしようと思っていない。
④ クライアントに納得してもらえる良い仕事をすることがすべて。収入なんてどうでもいいだろ。
もちろん、コンサルタント同士の四方山話なら、①②③④のどれでも関係ない。しかし、皆さんの会社が付き合っているコンサルタントが、「お金なんてどうでもいい」と口走ったら、要注意だ。
まず、①は論外だ。自分のビジネスがうまく行っていない無能なコンサルタントからアドバイスをもらったら、会社がおかしくなってしまう。
②も、問題だ。日本には、「金儲けは不浄な営み」「人前でお金の話をするものではない」という考えがある。しかし、一般人はともかく、「1円でも多く稼ぎたい」と頑張っている企業を支援するコンサルタントがそういう“仙人様”では困る。
③は高齢のコンサルタントに多い。高齢になって好きなことをできるのは、素晴らしい生き方だと個人的には思う。しかし、クライアントにとっては、趣味・暇つぶし・ボケ防止に付き合わされるのはたまったものではない。
④はなかなかカッコいいが、いかがなものか。お客様に納得してもらえる素晴らしい仕事をしているの報酬が激安という状態は、ちょっと考えにくいからだ(短期的にはあり得る)。「仕事の価値と報酬は無関係」と言うコンサルタントは、実際には大した仕事をしていないのだろう。
ということで、①②③④のどれであっても、クライアントにとって好ましくない。もしお付き合いしているコンサルタントが「お金なんてどうでもいい」と口走ったら、さっさと縁を切るのが賢明だ。
では、私はどうか。コンサルタントの集まりで年収を聞かれたら、「生活に困らない程度には稼いでますよ」と生返事している。心理としては②に近い。金儲けを不浄だとは思っているわけではないが、大っぴらに話すのは、はしたなく思える。
という仙人様キャラは無難すぎて、面白くもなんともない。ここは一気にモードチェンジして、クライアントに「もっと働いて、働いて、ガンガン儲けましょう!」と言ってみようかな…。
(2026年2月2日、日沖健)