先日、経営コンサルタントとして独立開業することを検討している中小企業診断士のAさん(50代男性)から相談を受けた。独立開業後の業務内容や顧客開拓などについて色々と聞かれて、1時間に渡って説明した。
Aさんは、私の説明に納得し、概ね満足したようだった。しかし、1つだけまったく納得していただけなかったのが、表題の「コンサルタントに高学歴は必要か?」という質問への回答・説明である。
Aさんの質問は、「うちの会社に来ているファームのコンサルタントは、みな高学歴だ。私の周りの中小企業診断士も高学歴が多い。自分のような普通の学歴(都内の中堅私大卒)では、コンサルタントとして成功できないのではないか?」という趣旨だった。私は次のように答えた。
「大企業をターゲット顧客にコンサルティングするなら、たしかに高学歴の方が良いでしょう。しかし、中堅・中小企業をターゲットにするなら、学歴はまったく関係ありません。Aさんは中小企業の支援を目指しているということなので、学歴を気にする必要はないでしょう」
まず、大企業にコンサルティングするなら、高学歴の方が好都合だ。大企業には、高学歴の社員が多いからだ。高学歴の社員は、低学歴のコンサルタントに対して「どうして自分より頭の悪い奴のアドバイスを聞かなきゃいけないんだ」と拒絶反応を示す(もちろん全員ではない)。拒絶している相手と人間関係を構築して一緒に何かを実現するというのは、容易なことではない。
一方、中堅・中小企業の場合、高学歴に意味はない。中堅・中小企業では、社長も社員もさほど高学歴ではないからだ。とくに創業社長の場合、裸一貫から実力で現在の地位を築いており、高学歴に意味がないことを熟知している。高学歴のコンサルタントを「なんでコンサルタントしているの? 会社で問題を起こした?」と疑い、「理屈っぽくて付き合いにくい」と敬遠する。
と丁寧に説明したのだが、Aさんは納得しなかった。「日沖さんやお知り合いの方は高学歴だから自分の学歴を気にしていないだけじゃないですか。たいていの人は、学歴をすごく気にしていますよ」と言われた。
そこで私は、さらに「私の知り合いを見ても、高学歴で成功している独立コンサルタントはほとんどいません。逆に低学歴で、コンプレックスをバネに必死で頑張るコンサルタントの方が、成功確率が高いのが実態です」と説明した。しかし、やはりAさんは納得しなかった。
ここまで話して、ふと2つのことを考えた。
① 学歴は過去のこと。エリック・バーンの「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」という名言の通り、成功者は、変えられない過去を振り返らず、引きずらず、前向きに未来志向で活動している。
② 学歴とは社会の秩序。成功者は、他人が作った秩序に従うのではなく、秩序を破壊し、他人と違う自分なりのやり方を実践している。
この2点を話そうか少し迷ったが、成功を目指して意気込んでいるAさんの気勢を削ぐのも気が引けて、話題を変えた。Aさんがこの2点を覆してコンサルタントとして成功することに期待しよう。
(2026年1月12日、日沖健)