コンサルタントにロジカルシンキングは必須

「ロジハラ」という言葉がある。「ロジカルハラスメント」の略で、相手に正論や理屈(ロジック)を過剰に押し付けて、精神的に追い詰めて不快感を与える行為のことである。ハラスメントまで行かなくても、ロジカルな人は「理屈っぽい」ということでネガティブに捉えられがちだ。

コンサルタントの世界でも、ロジカルな人は敬遠されることがある。よく「ロジックでは人は動かない。感情の方が大切だ」とか「どんなにロジックを突き詰めても、独創的なアイデアは生まれない」と言われる。

日常生活での過剰・不要なロジックは、批判されて当然だ。しかし、それに同調してコンサルタントがロジックを否定するのは、いかがなものだろうか。

ロジックでは人は動かないのは事実だ。だからといってコンサルタントが感情の赴くまま主張をぶちまたら、誰からも相手にされない。最低限のロジックがベースにあって、初めて感情的な主張に耳を傾けてもらえる。

たしかにロジックを突き詰めても独創的なアイデアは生まれない。しかし、ロジック抜きの閃きだけでは独創的なアイデアが生まれない。日常生活のレベルはともかく、ビジネスシーンでは、まず基本的なロジックが必要だ。ITの基本ロジックを理解できていない人がいきなりITの新アイデアを生み出すことはない。

つまり、ロジカルなだけでは優れたコンサルタントにはなれないが、ロジカルではないコンサルタントは論外ということだ。コンサルタントは、まず必要条件としてロジカルシンキング(論理的思考力)を鍛える必要がある。

では、どのように鍛えれば良いのか。大切であり有効なのは、ロジックのパターンを覚えてしまうことだ。

皆さんの周りに、難しい問題に即座に正解を出すという人がいないだろうか。そういう人を見て我々は「おっ、天才!」と感嘆するが、本当に彼・彼女は天才なのだろうか。

まったくゼロの状態から素早く正解を考え出すという真の天才、“ガチ天才”は極めてまれだ。私はアメリカのMBAで学び、日本のMBAで教鞭を執り、23年に渡ってコンサルタントをし、これまで多数の天才を見てきた。が、過去ガチ天才だと思ったのは2名だけだ。

大半の天才は、色んな問題のパターンを覚えていて、それを頭の格納庫から素早く引き出して答えているに過ぎない。本質的に頭が良いわけではなく、言うなれば“エセ天才”である。

コンサルタントや企業経営者を含めて、すべてのビジネスパーソンは、“ガチ天才”である必要はまったくない。ビジネスの問題を的確に解決できれば良いのであって、“エセ天才”になれれば十分だ。

“エセ天才”になるためには、代表的な問題を解いて、復習して、問題解決のパターンを覚えてしまうことだ。

この度、『コンサルタントのためのロジカルシンキング77』という書籍を刊行した。77の代表的な問題を解くことで、コンサルタントが問題解決で使うロジックやフレームワークを覚えられるようになっている。本書を読んで、ぜひ“エセ天才”になっていただきたい。

 

(2025年11月3日、日沖健)