2億円トイレとあさイチ

来年開催される大阪万博の会場のトイレのうち8か所に若手建築家が設計した2億円のデザイナーズトイレが設置されるという。元々大阪万博が不人気であることも相まって、ネット・SNSでは、「一時的な設備にそんなにお金をかけるのは、税金の無駄遣いだ」という批判が噴出している。

この件について(いつもながら)勝手な意見を言わせていただく。私は高級トイレに賛成だ。むしろ、2億円なんて中途半端な代物でなく、100億円の究極のトイレを作った方が良いと思う。

私は大阪万博の開催にはどちらかというと反対だ。なので、「そもそも万博を中止するべきだから、トイレなんて必要ない」という意見には賛同する。ただ、なんだかんだで開催しそうな状況で、開催するからには世界中の人たちに見に来ていただき、成功してほしい。

では、アフリカやブラジルからわざわざ日本の万博に来たいと思わせるものは何か。

私は現在の日本が世界に対して誇れるのは、①観光、②食文化、③〇風俗、④安全、⑤清潔さの5つだと思う。中でも③〇風俗と⑤清潔さは、ダントツで世界一だと思う(シンガポールもかなり清潔だが、中心部以外は割と小汚い)。そして、日本の清潔さを最も象徴するのがトイレだ。

海外に行くと、高級なホテルに泊まってもトイレが汚なかったりする。ましてや街中のトイレには、かなり勇気を出さないと入れない。海外では、トイレは基本的に「できれば行きたくない場所」だ。

それに対し日本では、駅や公園のトイレでも許せる程度の清潔さだ。さらに、日本を訪れたアジアの富裕層が帰国して自宅にウォシュレットを設置したり、多くの日本人がトイレで読書するように、日本のトイレはきれいなだけでなく、「ゆったりくつろげる快適空間」である。

大げさでなく、日本のトイレは世界中に広めたい国の宝だ。そして、外国人に日本のトイレを良さを知ってもらうためには、万博は絶好のチャンスではないだろうか。2億円ではケチな日本人以外には話題にならないので、どうせなら100億円のトイレを作って「究極のトイレを見に万博に行こう!」と世界に発信するべきだと思う。

ところで、個人的に驚き、残念に思っているのは、万博のようなお祭りについても「節約しよう」「無駄をなくそう」という国民の大合唱が起こっていることだ。

日本では1990年代後半から四半世紀もデフレが続いており、日本人には節約意識が染みついている。そのため、少しでもお金が絡む話になると、自然にケチ臭さが頭をもたげてくるのだろう。

という気持ちはわかるが、「景気は気から」という。お祭りですら「もったいない」「節約だ」と考えるデフレマインドでは、景気が良くなるとは思えない。これから本格的に景気を良くするには、日本人のデフレマインドを払拭する必要がある。

では、どうすれば良いのか。ケチ臭さを助長しているマスメディアの報道を控えるのが、簡単で効果が大きい。そこで一つ提案したいのは、NHK「あさイチ」の番組終了である。

うちの家内によると、あさイチでは「今夜の献立ての節約レシピ」「ガソリン代を節約する方法」といったケチケチ特集が多く、「朝っぱらからあの番組を視ると、一日中ケチ臭い気持ちになる」という(だったら視なければいいのに、と思うが…)。

日経平均が史上最高値を更新し、賃上げも高水準になりそうだ。この良い流れをたしかな景気回復に繋げるために、「万博に100億円トイレ設置」と「あさイチの番組終了」を是非とも実現してほしいものである。

 

(2024年3月4日、日沖健)