コンサルタントはなぜ胡散臭いか?

2002年7月にコンサルタントとして独立開業して20年が経つ。この間、コンサルティング業界は大きく変わった。コンサルタントという職業の認知度が上がり、企業がコンサルタントを活用するようになったのは、喜ばしい変化だ。一方、あまり変わっていないのが、「コンサルタントは胡散臭い」「頼りにならない」という負のイメージである。むしろ最近コンサルタントによる不祥事が増え、イメージが悪化しているかもしれない。

コンサルタントはなぜ胡散臭く、頼りにならないのだろうか。自戒を込めて、コンサルタントの「これはアカン」というNG行動を3つを指摘したい(コンサルティング会社の社員ではなく、中小企業診断士など独立開業しているコンサルタントについて)。

第1に、顧客の利益よりコンサルタント自身の利益を優先することだ。コロナ対策の事業再構築補助金やゼロゼロ融資では、コンサルタントが不正を主導し、社会的に批判を浴びた。顧客を騙したり、機密情報を横流しして利益を得るのは、日常茶飯事だ。「世の中のために働いています」と胸を張るコンサルタントも、意外と老後の暇つぶしや自己実現が目的だったりする。自分ファーストのコンサルタントが、顧客から信頼を得られるわけがない。

第2に、専門性を高める努力をしていない。コンサルタントは顧客に知識・スキルを提供するのだが、レベルが低い顧客を選んで仕事をすれば、専門性を磨かなくても昔取った杵柄で勝負することができる。多くのコンサルタントは専門性を高める努力をしないので、一時的に売れっ子になっても、すぐに時代の変化に取り残されてしまう。顧客から見て「いつも同じこと言っていますね」となって、信頼を得ることができない。

第3に、コンサルタントは自分を大きく見せたがる。同業のコンサルタントと飲むと、補助金の申請を手伝っただけなのに「俺のコンサルティングによってあの会社は倒産の危機から立ち直った」という武勇伝や「俺は年収3000万円だ」という自慢話を聞かされる。噓っぽい武勇伝や(事実だとしても)自慢話は、人からの信頼をなくすだけだ。

では、どうしてコンサルタントは、長い目で見て自分の価値を下げるNG行動をしてしまうのだろうか。

結局、コンサルタントは「孤独で不安」なのだろう。売れっ子コンサルタントでも、人気が無くなり、顧客から見限られれば、あっという間に無収入になる。ましてや売れていない大半のコンサルタントは、生きて行くのに精一杯だ。自分ファーストで、顧客を含めて他人のことに気を遣う余裕はない。

そのため、お金の匂いがしたら不正を厭わず食らいつく。リスクを取って新しいことに挑戦するよりも、チョロそうな顧客を探して儲けられるところで確実に儲ける。誰も自分のことを認めてくれないから、飲み会で虚勢を張る…。

「世のため人のため」だけを考え、禁欲的に自己研鑽に励み、長期的視野に立って活動するコンサルタントも、もしかしているかもしれない。しかし、私を含めて大半のコンサルタントは、ここまで紹介したような感じだ。

数年前まで、私はそういうコンサルタントを見て、「ええ加減にせいよ」とイラついていた。しかし、最近は「自分も同類だな」「迷いながら生きるって、人間らしくて良いかな」と思うようになった。

この文章をお読みになったコンサルタント以外の方は、「コンサルタントは胡散臭くて当たり前」と思い、過度な期待をせず、鷹揚な気持ちで付き合っていただければと思う。

 

(2022年11月28日、日沖健)