カレーライスとカツカレーの注文を受け間違えたら

先日、昼食で行った飲食店でカレーライス(500円)を頼んだら、20代の女性店員から「お待ちどうさま!」とカツカレー(700円)が出された。「間違ってますが…」を指摘すると、店員は「申し訳ございません」と謝った。

私は「カツカレーに変更しても大丈夫ですよ」と言って、お代済みだったので差額の200円を渡そうとした。すると店員は、「ありがとうございます。では100円で結構です」と言って、100円だけ受け取った。

という他愛もない出来事なのだが、この店員の対応は、実に的確だったと思う。

この状況で店員には、次の5つの対応がある(他にもあるかもしれない)。

 出したカツカレーを廃棄してカレーライスを作り直す

 カツを取って「はい、カレーライスです!」と出し直す

 そのままのカツカレーで700円を受け取る

 そのままのカツカレーで500円しか受け取らない

  そのままのカツカレーでカツの原価分、たとえば100円だけ受け取る

 この5つで、どれが最も良い対応、悪い対応だろうか。個人的には、番号順に悪い→良いだと思う(異論は認める)。

高級店は①が多いだろうが、いかがなものか。「よし食うぞ」とその気になっていた客は、さらに待たされてテンションが下がる。店にとって最も損失が大きい。最もエコでない。高級店のプライドがそうさせるのだろうが、最悪の対応だと思う。

次に良くないのが②だ(実際にはあまりやらないと思うが)。客は、カツの匂いが漂うただのカレーに思い切りテンションが下がる。カツが廃棄になってエコではないし、店にとっても損失だ。

店にとっては③が目先の損益としてはベストだ。しかし、「ケチくさい店」という悪評が立ち、大きなマイナスになるかもしれない。

客にとっては④がベストなのだが、店の損失が出てしまう。

その点⑤は、客にとってお得感があり、店の損失もロスもない。客も店も納得でき、総合的にベストの対応であろう。

店員はとっさに機転を利かせてベストの対応をしたのだろうか、それともマニュアル化されていたのだろうか。前者なら優秀な店員だし、後者なら優秀な店である。いずれによせ、久しぶりに飲食店で良い接客対応を体験することができた。

話は少し変わるが、仕事場の近くに無人コンビニがあり、最近、頻繁に利用している。最初は不慣れだったが、すぐに慣れて快適になり、逆に有人店舗で買い物をするのが嫌になってきた。有人店舗は昼時は大行列だし、ミスが多かったり、店員の言葉遣いが悪かったり…。

1か月くらい経って、無人コンビニに心地良さを感じている自分にふと気づいて、「俺って人間嫌いでヤバいかも」と自己嫌悪していた。今回、カレー屋で良いサービスを体験して「人間の接客も悪くないかも」と思い、真っ当な自分がいることにほっとした。

英国のチャリティ機関、チャリティーズ・エイド・ファウンデーションが公表した世界人助け指数・2020年調査によると、「過去1か月間に助けを必要としている見知らぬ人を助けた」人の割合が、日本は12%で調査した世界114か国で最下位だった。コロナの影響で、「できるだけ他人と関わらない」という残念な風潮に拍車がかかっているだろう。

今年は、色んな人とリアルで交わり、人との触れ合いを取り戻し、明るく楽しい1年にしたいと思う。