韓国人は日本人のことをどう思っているのか?

先週(3月22日「韓国と日本ではどちらが暮らしやすいか?」)に続いて、知り合いの韓国人・朴さんの話を紹介しよう。先週は社会・働き方といったことだったが、今回は表題の通り、韓国人の日本人観というちょっと微妙な話。あくまで朴さんという日本に住む日本びいきの韓国人の個人的な見解であることには留意していただきたい。

まず、日本人と韓国人の似ているところ。「世間体や面子、他者からの評価を重んじるところは、かなり似ているのでは」ということだった。日本人が世間体や面子を気にするのはたしかにその通りだが、韓国人も負けず劣らずということらしい。

「韓国人は、進学でも就職でも、何を勉強したいか、どういう仕事をしたいかよりも、周りの人にどう思われるかを気にします。韓国人は主要国で最も自殺者が多いですが、経済的な理由よりも、名誉を傷つけられたという理由で簡単に自殺しますね。」

逆に日本人と韓国人で違っているところ。「韓国人は正しい・間違い、好き・嫌い、敵・見方と、ものごとを2つに割り切ろうとします。それに対し日本人は、どちらでもない、という曖昧な部分を常に残そうとします」

その例として大統領・首相への支持率を挙げた。「朴槿恵前大統領は汚職によって政権末期に支持率が4%になりました。一方、安倍前首相や菅首相はあれだけスキャンダルにまみれてもかなりの支持率を維持している。韓国だったら、一度ダメとなったら、とことん叩きのめされます。」

私が「韓国人は熱しやすく冷めやすいのでは?」と聞くと、朴さんは「そうかもしれませんね。でも、忘れっぽいっていうことだと、日本人も同じでは? 戦前の韓国統治のこととか、すっかり忘れてますからね」と言ってかすかに笑った。

それを受けて私が「やっぱり韓国人は、日本人のことを憎んでいるんですか?」と聞くと、「人によるし、世代によりますね」という答えだった。

戦前の日本の統治や戦後の朝鮮動乱を経験している70代以上の世代は、日本人に強い敵愾心を持っている。彼らに育てられた今の40代から60代は、日本人のことが好きではないが、敵意は持っていない。30代より下の世代は、ほとんど気にしていないのだが、人から尋ねられたら、「嫌いって言わないとまずいかな」という雰囲気は少し残っている、とのことだった。

最後に、今回朴さんとお話しした中で最も印象に残ったコメント。「日本人はネトウヨみたいな韓国人ヘイトの人ばかりかと思って怖かったですが、来てみたら全然そんなことはない。韓国でも日本人に敵意剥き出しって人を探すのはたいへんなくらいです。外交のニュースやネット掲示板を見ると、日本と韓国は今にも国交断絶しそうな勢いですが、あれってなんなんでしょうかね。」

日本と韓国は、歴史的に深いつながりのある隣国で、自由主義陣営の同盟国である。好きでも嫌いでも、切っても切れない関係であり続けるだろう。歴史問題などさまざまな難題があり、良い関係を築くのは容易ではないが、少なくとも国民のレベルではお互いを知り合い、仲良く付き合いたいものである。

 

(2021年3月29日、日沖健)